防除暦の作成

防除暦の作成

「農家は雨の日が休み!?」
就農前はそんなことも考えていましたが、、
雨の日も仕事しています。

最近は次年度の防除暦(殺菌・殺虫の計画)を立てています。

これがムツカシイんですよね~。

防除暦の基本となるものはインターネットを検索すればでてきますが、それが自分の圃場に合ったものとは限らない。なので、結局自分で作ることになります。

例えば、ぶどうの殺菌でスタンダードなものにボルドー剤という「銅」を主体としたものがあります。
このボルドー剤だけでも何種類もあるんです。

<以下は独自で調べた情報なので、間違っている部分があると思います。参考にしないでください。>

①ICボルドー②Zボルドー③園芸ボルドー④コサイド3000 その他にもいろいろ、、、

①は硫酸銅+水酸化カルシウムです。
硫酸銅はボルドー剤のなかでもゆっくり溶出してゆっくり効くもののため、薬害が少なく効果も持続しやすい。また、水酸化カルシウムの働きによってさらに薬害が出にくくなっている。また、カルシウムを葉面散布剤と捉えて、植物体を病気に強くする効果もある。かも?とってもメジャーで信頼性のある薬剤です。
ただ、値段が高い。とっても高い。重たい。(うちだと全園に散布するときは薬液だけで100キロ必要)
硫酸銅が青色+水酸化カルシウムが白色で散布した後はまさに「農薬!撒きました!ついてます!」って感じになります。どうしても、そういう「感じ」になってしまうのがもったいない。(ICボルドーは安全性が相対的に高い農薬とされている)

②は硫酸銅+硫酸亜鉛+硫酸マグネシウムです。
硫酸銅は①と同じですが、薬害を抑えるために配合された他の成分が違います。水酸化カルシウムに比べて汚れが目立ちにくいのがよい。(ただし、硫酸銅の青色は出る)また、この薬剤は粉なので、軽いのがいい。また、①に比べて半値以下で全園に散布できるのが良い!
ただ、①に比べると適用病害が少ない。(シャインマスカットで最も問題となる「黒とう病」の登録がない)また、殺虫剤と同時散布するときは混用事例が少ないので使いにくい。

③は塩化銅+硫黄です。
塩化銅は硫酸銅より溶けやすいため、薬効は期待できるものの、薬害が出やすい。色は白色なので、①や②に比べると汚れにくい。硫黄はダニの殺虫にも効果がある(ぶどうは適用がないため、それを目的とした散布はダメ)ので、一石二鳥な部分もある?価格は②よりちょっと高いくらい。黒とう病にも登録がある。他のボルドー剤で登録のないうどんこ病にも効く。(硫黄が効くらしい)このように、一見すると①と②より良いようにも見えますが、、、
薬害が出やすいのでそれを抑えるためのものを加用すると、すっごく汚れる。
硫黄は農業用フィルムの農POを劣化させるため、雨除けぶどうには使えない。

④は水酸化第二銅+展着剤です。
水酸化第二銅は薬害が出やすい&出にくいという情報があるため、使ってみてから判断、、、ですが、汚れにくい薬剤のようです。また、長年ボルドー剤を散布していると、土壌に銅が蓄積して薬害を生じるそうですが、④はかなり薄めて撒けるので銅蓄積が少なくて済みます。そして何より安い。他の薬剤に比べてそれはもう、圧倒的に安い。
ただ、病気に対する適用が少ない。(さび病とべと病のみ)採用している防除暦が少ない。混用事例が少ない。というか、使っているという情報が少ない。
なんとなく不安「感」がある、、、

このようにボルドー剤だけでもどれを使うか悩む。それはもう悩む。1週間以上悩んでます。
ほんと、ムズカシイネ。
デモ、オイシイブドウヲオナカイッパイタベルタメガンバルヨ。

コメント

  1. 高瀬 満 より:

    去年のテスト販売の時にお邪魔してブドウを頂いた高瀬です。

    私は現役時代に農薬を主製品とする化学会社で働いていました。
    ですから、防除暦についてはある程度の知識があります。

    野菜の場合は防除暦は年毎に農協が作って、農家がそれに合わせて散布するというシステムができていました。
    でも、果樹の場合は自分で防除暦を作るんですね。
    よく考えてみると、一年草の野菜と違って、年月がかかる果実は果樹の成長に合わせて防除計画を作ることになるので、既製品の防除暦は使えないんですね。
    これはなかなか大変ですね。

    • tatsumi より:

      コメントありがとうございます。
      素晴らしい経歴をお持ちですね!

      防除暦は産地化されている地域ではもちろんありますが、砺波市だとぶどうがマイナーなのでありません。

      なので、RACコードと農薬の説明を精査しながら各地の防除暦を参考に作っています。
      お手頃価格で安全なぶどう作りのため、今後も努力します!